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刑法総論
刑法総論
刑罰
刑法6条(刑の変更)
犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる。
「犯罪後」とは、実行行為の終了後を意味する。また、「刑の変更」は、改正法の施行時を基準とする。
・監禁罪:継続犯であるから、行為の継続中に刑の変更があった場合、常に行為の完結した時期における新法が適用される(最決昭和27年9月25日)
属地主義
日本国内において罪を犯した者に刑法の適用があるという原則をいう。
属人主義
比較的重い犯罪について、日本国民が国外においてこれを犯した場合に刑法の適用するという原則をいう。
保護主義
日本国又は日本国民の重大な法益を侵害する犯罪について、何人が国外においてこれを置かしても刑法を適用するという原則をいう。
世界主義
犯人及び犯罪地のいかんにかかわりなく自国の刑法を適用するという原則をいう。
構成要件など
【責任能力】:原則として責任能力は、14歳未満(13歳以下の者)に認められない(刑法41条)。精神病者の場合、12、3歳程度の知能があれば責任能力が認められる(年齢は14歳以上であることが前提)。これは、①是非・善悪の弁識能力、②行動制御能力があるためである。
①、②のいずれかの能力を精神上の障害により欠く場合、「心神喪失者」として責任能力が認められない。①、②いずれかの能力が著しく減退している場合「心神耗弱者」として必要的減軽となる。
【実行の着手・既遂時期】
着手・肯定例
・被害者が金品を所持していることを知りつつ、ズボンのポケットの外側に触れる
・深夜、無人の店内に侵入し現金を奪うため、レジスターに近づいた行為
・深夜、スーパーの商品を奪う目的で売場に忍び込んだ行為
・電話線を窃盗する目的で、電話線を切断しようとした行為
・自動車を窃盗する目的で、スペアキーで運転席のドアを開けた行為
・タンスの引出し内を物色する行為
着手・否定例
・居間に置かれた金品奪取のために、玄関から侵入した行為
・隣室に欲しいものがある状況で、別の用事を頼み同屋にいる者を移動させた行為
・屋外で鍵の掛かっていない自転車を物色する行為
既遂に至る例
・形状の小さいものをポケットに入れる(既遂)
着手・肯定例
・無銭飲食の目的で飲食を注文した行為
既遂に至る例
・無銭飲食の目的で食事の交付を受けた時点
罪数
⇒1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合
【具体例】
・路上にロープを張り、車道を閉塞して自転車を転倒させた〔往来妨害罪・傷害罪〕
・恐喝の手段として暴行を用いて傷害を負わせた〔恐喝罪・傷害罪〕
・殺意をもって頸部をヒモで締めながら強制性交し死亡させた〔殺人罪・強制性交等致死罪〕
・殺意をもって他人所有住居を燃やし殺した〔殺人罪・現住建造物等放火罪〕
・窃取した財物と知りながら恐喝して財物の交付を受けた〔盗品無償譲受け罪・恐喝罪〕
・無免許で飲酒運転した〔無免許運転の罪・酒酔い運転の罪〕
「手段である行為」⇒犯罪の性質上普通その実行の方法として用いられるべき行為であって、かつ、その犯罪の構成要件とならないものをいう
【具体例】
・郵便局の窓口で、偽造郵便貯金払戻請求権を行使し貯金を払戻した〔偽造文書行使罪・詐欺罪〕
没収・追徴
必要的没収
・犯人、情を知った第三者が収受した賄賂(刑法197条の5)
任意的没収
・組成物件(刑法19条1項1号)
・犯罪供用物権(同項2号)
・報酬物件(同項3号)
・対価物件(同項4号)
① 犯人に属する物以外の物は、没収できない。犯罪の後に知って取得した時は没収できる。
② 犯罪組成物件を除き、拘留・科料のみに当たる罪の場合には、没収できない。
[注意点]
・「物」とは有体物をいい、債権や利益は没収の対象にならない。
・主物を没収できる場合、従物も没収できる(主物:刀、従物:鞘)
必要的追徴
・犯人、情を知った第三者が収受した賄賂の価格
任意的追徴
・報酬物件が没収できないときの価格(刑法19条の2)
・対価物件が没収できないときの価格(刑法19条の2)
刑の減軽・免除
【親族間の犯罪に関する特例ー義務的免除の範囲ー】
被害者と犯人との間に①配偶者、②直系血族、③同居の親族の関係のある【窃盗・不動産侵奪罪】【詐欺(電子計算機使用詐欺、準詐欺を含む)・背任・恐喝】【横領罪(業務上横領、遺失物横領)】は、義務的免除となる。
本犯と盗品関与罪の犯人との間に①配偶者、②直系血族、③同居の親族、④これらの者の配偶者の関係がある【盗品関与罪】は、義務的免除となる。
【親族間の犯罪に関する特例ー告訴についてー】
別居の親族との間で生じた【窃盗・不動産侵奪罪】【詐欺(電子計算機使用詐欺、準詐欺を含む)・背任・恐喝】【横領罪(業務上横領、遺失物横領)】は、告訴がなければ、公訴を提起できない。
別居の親族との間で生じた【盗品関与罪】は、通常通り罰する。
執行猶予
○全部執行猶予・一部執行猶予
➀前に禁錮以上の刑に
○執行猶予の取消事由
刑法各論
刑法各論
暴行・脅迫
暴行罪:人の身体に対する不法な一切の有形力の行使
脅迫罪:一般に人を畏怖させるに足りる害悪の告知
騒乱罪:物に対する物理力の行使を含む
公務執行妨害罪:公務を妨害する抽象的危険があれば足り、暴行は間接的なもので足り、脅迫は人を畏怖させる害悪の告知を広く含む。
強盗罪:反抗を抑圧するに足りる程度
強制性交等罪:反抗を著しく困難にする程度
危険運転致死傷罪
・酩酊運転:正常な運転な困難な程度に酩酊して運転すること
・制御困難運転:制御困難な高速度で運転すること
・未熟運転:運転技術が極めて未熟な状態で運転すること
・妨害運転:割り込み、幅寄せ、あおり、対向車線へのはみ出し等通行妨害目的の運転をすること
・信号無視運転:危険を生じさせる速度で殊更に信号を無視する運転
・通行禁止道路運転:道路を逆走などする運転
※「妨害する目的」は、相手方の自由かつ安全な通行の妨害を積極的に意図することをいうので、未必的な認識では足りない。
犯人蔵匿等罪
・ 罰金以上の刑にあたる罪を犯した者、又は拘禁中に逃走した者
・ 蔵匿し、又は隠避させたこと
・ 故意
【親族による犯罪に関する特例】
裁量的免除が認められている。犯人蔵匿等罪・証拠隠滅罪は、他の親族による犯罪が義務的免除とされているところと異なるために注意が必要。
【罪を犯した者の意義】
真犯人である必要はなく、犯罪の嫌疑によって捜査中の者も含まれる(最判昭和24年8月9日)。もっとも、公訴時効の完成、親告罪における公訴権の消滅、刑の廃止などによって訴追・処罰の可能性が失われた者は含まれない。刑事司法作用を害する危険性がないためである。
【故意】
被蔵匿者が真犯人であることの認識は必要でなく、罰金以上の刑に当たる犯罪の嫌疑を受けて捜査又は訴追されている者であることの認識があれば足りる。
略取等罪
○略取等罪の構成要件など
・未成年者を営利目的で誘拐した場合、営利目的誘拐罪のみが成立する。
・身の代金目的で人を誘拐した者が被拐取者を監禁し、身の代金を要求した
⇒〔身の代金目的拐取罪、身の代金要求罪の牽連犯、これらと監禁罪は併合罪〕
毀棄罪
【毀棄罪の客体】
○公用文書毀棄罪:作成者、作成目的にかかわりなく、現に公務者において使用に供され、又は使用の目的をもって保管されている文書。
注意点:①作成者が公務所・公務員に限定されていない。②偽造された文書・作成途中の文書も対象。
○私用文書等毀棄罪:権利又は義務の存否・得喪・変更・消滅等を証明し得る他人の文書
注意点:①私文書偽造罪の客体と頃なり、「事実証明に関する文書」を含まない。②原則として他人の所有物が対象(例外:差押え、物権を負担、賃貸)
○器物損壊罪:動産(上記文書を除く)・不動産(建造物を除く)
○建造物損壊罪:建造物
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