[民法]動産物権変動

民法

動産物権変動での注意点

「物権変動」を学習する際には、以下の点に注意しましょう。

注意点

① 「権利取得」の問題と「対抗要件」の問題を別々に考えること

② 最初に「権利取得」、次に「対抗要件」の問題を考えること

動産物権変動の権利取得

動産」とは、不動産以外の物のことをいいます(民法86条2項)。

動産の所有権を取得するには、基本的には「契約」、つまり意思表示によります(民法176条)。

取得原因一覧

○ 契約(売買契約など)
○ 時効取得
○ 相続
○ 即時取得

即時取得

「不動産」にはなく、「動産」にだけ認められる動産の取得原因は、「即時取得」です。

民法192条(即時取得)
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

不動産と異なり、動産には公信力」が認められます

この「公信力」が現れているのが、この「即時取得」の規定です。

所有者としての外観を持っている人から、「動産」を購入すれば、その通りの権利が認められます。

「即時取得」について、詳しくは以下を参照ください▽

動産物権変動の対抗要件

民法178条(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

「動産」の物権変動の対抗要件は、「引渡し」です。

第三者に権利譲渡を対抗するには「引渡し」が必要です(民法178条)。

所有権の「譲渡」

民法178条によると、動産の「譲渡」を対抗するためには、動産の「引渡し」が必要です。

「譲渡」される権利は、「所有権」であると考えられています。

つまり、178条の「動産に関する物権」とは動産の所有権を指すと考えられています。

動産の占有権、留置権、質権などについては、「引渡し」が成立要件・存続要件となり、対抗要件とはなりません。

注意

 動産の「所有権」が「譲渡」される場合であっても、「引渡し」が対抗要件とならないことがあります。登録された自動車、建設機械、航空機、船舶などは、「登記・登録」が対抗要件となります。

「譲渡」以外の物権変動

第三者に権利の「譲渡」を対抗するには「引渡し」が必要です(民法178条)。

もっとも、動産の所有権の「譲渡」以外であっても、判例「取消し」や「解除」などの復帰的な物権変動であっても「引渡し」が対抗要件になるとしています。

「引渡し」の種類

「引渡し」には以下の4つの種類があります。

引渡し

① 現実の引き渡し(民法182条1項)
② 簡易の引渡し(民法182条2項)
③ 指図による占有移転(民法184条)
④ 占有改定(民法183条)

条文の一覧

民法182条(現実の引渡し及び簡易の引渡し)
1 占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。
2 譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。

民法183条(占有改定)
代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。

民法184条(指図による占有移転)
代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。

【現実の引渡し】

【簡易の引渡し】

【占有改定】

【指図による占有移転】

「第三者」の範囲

「動産」「不動産」で「第三者」の範囲を別に考えるべき理由が特にないため、「第三者」の範囲は、不動産物権変動と同様の範囲であると考えられます。

参考文献

【参考文献】


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